安全は宣言するものではなく証明するもの

オスプレイも震災瓦礫の焼却も…

知事、岩国市長厳しい表情…オスプレイ安全宣言、試験飛行に反発

 「政府の判断は極めて残念」――。米軍岩国基地に一時駐機中の新型輸送機MV22オスプレイについて、日本政府が安全宣言した19日、森本防衛相と会談した山本知事と岩国市の福田良彦市長は、防衛相の報告を厳しい表情で受け止めた。岩国基地でのオスプレイの試験飛行は、地元の理解を得ないまま行われる見通しとなった。

 「本日午前、日米合同委員会の合意に署名する手続きが終わり、総理に説明した」。岩国市役所での会談冒頭、森本防衛相は試験飛行や国内運用にゴーサインを出したことを伝えた。

 これに対し、福田市長は「地元の実情と市民感情を考えると試験飛行は認められないと言わざるを得ない」と反発。一方で、オスプレイの配備については「地域の平和と安定に寄与する」と一定の理解を示した。

 防衛相は、試験飛行の開始時期について「米側の運用計画であり、分からない」と明言を避け、地元首長らを対象にした体験搭乗を27日に行うよう米側に要請していることも明らかにした。

 県庁で森本防衛相と会談した山本知事も試験飛行開始を認めるとする説明に対し、「安全に対する県民の懸念は完全に払拭されていない。分かりましたとは申し上げられない」と反対の姿勢を強調。会談終了後、報道陣に対して「政府が責任を持って、何事があっても対処するという考えは受け止めたが、(試験飛行について)納得しましたとは言える状況ではない」と繰り返した。

 同席した柳居俊学・県議会議長は会談中、「(オスプレイの問題について)民主党の中でも色んな発言があり、疑問がぬぐえない。政権与党として意見の統一をしてほしい」と注文した。

 一方、沖合の日本海上空で試験飛行が行われる見通しとなった下関市の中尾友昭市長は、記者団に対して「(山本知事の)『安全への懸念が払拭されていない』という点については同感」とした上で、「全て国の責任において安全と安心を確保されるということを、(県を通じて国などに)強く求めていきたい」と述べた。

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 岩国市役所前では19日正午過ぎ、配備に反対する市民団体のメンバーら約60人が集まり、「大臣は帰れ」「オスプレイは来るな」などと抗議。一部の参加者は会談終了後、市役所前でハンガーストライキを始めた。

(2012年9月20日 読売新聞)