訳されなかった言葉

昨夜帰宅して、七草粥をすすりながらボーっと見てた番組が「ガイアの夜明け」だった。日本の食材で外国人シェフが和食を作るコンテスト。仕掛けが日本の農水省と聞いてなんとなく引っかかっていた。(だいたいお役所主導のイベントには懐疑的な私。)

途中、ベルギー人シェフが調達した黒豚が、予定していた鹿児島産でなく埼玉産であることに気づいて、慌てて鹿児島産を探して買い直すシーンがあった。その時、無事鹿児島産を得たシェフが「……fine… とか …safe…」とか言って安堵していた。字幕にはぴったりした日本語訳は流れなかった。私と娘はそのsafeという言葉にひっかかって、safeに「安全」以外の意味があるのか?などと辞書を引いた(無難な、とか間違いのない、と訳せなくはない?)。それくらい、物語の流れとsafeという言葉がつながらなかった。

しばらく考えているうちに、私の中でだんだんと話がつながってきた。今、日本の農産物食材は、特に東日本産は、世界の多くの国々で放射能汚染を恐れて輸入禁止になっている。風評だろうがなんだろうが、日本は農産物・食材を非常に輸出しにくい状態である。(農水省の資料(PDF)

農水省はそういう現状を打破するきっかけづくりの一つとしてあのようなイベントを仕込んだのではないか? でもあのベルギー人シェフはやはり東日本産の豚は安全ではない、と判断したのではないか? 鹿児島産を得て「safe」と納得したのではないか。TV東京はわざと、そのsafeを訳さなかったのではないか? そのように私たちは解釈した。さて、真相はどうなのだろうか? もう一度あの部分を見なおしてみたい番組である。
そういえば、「和食」はユネスコ世界遺産になったそうで。これもなんだかなぁ。穿ち過ぎかな?