見過ごしたくない話

Massie池田先生のエッセイから

科学者たち

先日,午後4時半過ぎに外来にN君が連れられて来ました.浣腸の時,彼のお尻が腫れていると気づかれたからでした.診てみると,肛門周囲が腫れています.肛門周囲膿瘍という病気でした.肛門周囲は小さな傷でもバイ菌が入って膿みがたまりやすいのです.外科で切開して膿みを出して治療します.
<中略>
大変診断がむずかしい肛門周囲膿瘍の早期発見は下の世話がきっかけでした.職員が下の世話に積極的に関与しているからこそ,医者よりも早く病気が見つけられたのです.職員の毎日の仕事一つ一つが人間を診る科学です.

日ごろの目の付け所というか、注意力がいかに大事であることか。これは、なかなか言われても身につきにくく、長い間の習慣に大きく影響されるが、研究室のなかでも、構成員がこんな気持ちと視野をもって過ごすことを目指してくれたら、どれほどよいだろう。そしてどれほどその学生の将来に助けとなるだろう。強制でなく、小言でなく、そんな雰囲気を醸成するには、教員としてどうしたら良いだろう。まずは自らがその気持ちを持つことが大事。その意味で、ひとつ上の記事の失敗は恥ずかしいこと。実は、スペアキーに関する情報を全員にきちんと知らせていなかった。二重の不備である。