12月25日の朝日新聞朝刊「声」にあった、51歳の主婦からの投書。

脳梗塞の夫と歩いていこう
私の夫は結婚22年目のある寒い朝脳出血に見舞われ、その後一時回復しながらも次に脳梗塞に見舞われた。
 そして現在、26年目の結婚生活を共にする彼は、脳障害を抱えながらもけなげにいつも微笑みを絶やさず、無邪気に存在している。授かった4人の息子の、それこそ弟のように。そう、私にとってまさに彼は5番目の幼い息子のようである。
 これから先の人生、私は巣立っていくであろう4人の息子たちと、いつまでも私の腕の中から飛び立つことなくひたすら庇護を求める5番目の息子とともに歩いていく。愛しているよ、5人の息子たち。

「けなげに」「無邪気に」という言葉に行き着くまでに、この奥様(お母様)はどれほどの苦悩を乗り越えたのだろうか。その苦悩を噛み砕いてすりつぶし、消化した形で、「5番目の幼い息子」として夫を認め、飛び立つことのない夫(=開放されることのない自分)のこれからをポジティブな人生と位置づけたのだろう。その力強さと愛の深さに言葉がでない。