もう博士はいらないという国の宣言か

大学院博士課程:定員減を 大学院重視を転換、教員養成も見直し−−文科省

文科省はこれまで、研究拠点を大学の学部から大学院に移す「大学院重点化政策」を進めてきた。しかし、就職難への不安などから地域や分野によっては定員割れが相次いだため、政策を大きく見直すことになった。

自ら(つまり大学が)博士課程の定員を増やして大学院大学を名乗った以上はその責任を果たすべく大学はもがいている。たとえば、法人化以降の兵糧攻めによって細らされているアカデミックキャリアパス以外にも、もっと「博士」が活躍できる社会の実現を目指して必死に頑張っている。その一方で、文科省にいきなり「やっぱり博士はそれほど必要でないから減らして」って言われたら脱力しちゃう。(定員を減らす口実ができて大学はほっとする?)
結局、社会は大学が輩出しようとしていた「博士」を使いこなすつもりがそれほどなかったし、逆に社会が必要とするような専門性の高い職業人の質を「博士」という学位で保証することに大学は成功しなかったということか。博士の質の低下が問題となり、学位授与規定を(公表論文が最低何報とかの数値規定をいれて)厳格化するなどの「量的な」品質保証の改善を試みたものの、「博士」が備えるべき質的な基準については大学も社会も理解を変えていないのでミスマッチなままなのではないかな。
博士課程の定員減の次には、高等教育予算・科学研究予算の減額が控えている気がする。仮に定員を減らせばもっと濃密な教育と研究が可能になると期待しているが、教育予算が減ればなんの意味もない。