サバティカルの話しの続き

日本でなぜサバティカルが得難いか、というと、どうも居ない間の教育用の人的資源の一時的補充が不十分である、ということが主要な理由ではないと感じている。大きな理由は、「半年や1年間遊ばせておくにはいかない」という雰囲気であると思う。実際にはこれは遊びではない。研究専念期間である。
ついでに、グラントからの制限も決定的だ。1年間サバティカルで日本を離れる場合、科研費を申請できない。特にPIであれば、(実際はそうではなくても)科研費を申請する/採択されて受給することは、自らが率いるラボあるいは研究グループにとって重要であり、教員個人の問題に留まらない。日本にいなくたって、留守を預かるラボでは院生がシコシコと実験を進めなければならない。だから半年を超えるサバティカルを取ることは、そういった1年間のグラントを放棄することと同義ではラボが立ちゆかなくなってしまう。以前と比べてずいぶん使いやすくなったと交付側から自画自賛される科研費だが、まだまだだと思う。
うちの大学の親規則には、7年間に1回、半年から1年間サバティカルを取れる、とある。つまり1回である。一方、Oriol曰く、UPENNでは上限の期間が決まっているので、それを小出しにも使える。おそらく他の大多数の海外の大学でも同様だろう。「1回」という制限がどれほどきつい縛りとなってサバティカルの実質化を妨げていることか… 3.5年に半年でもよい、という農学研究院素案は、上記グラント側の制限や、教育担当の問題などを何とかクリアして、7年に1年という割合を実現しようというものだったが、先日の会議であっさり親規則の「7年に1回」に蹴り倒された。次なる策を考えて、実現・実質化を目指したいものである。今後はこの問題は一応私が所属する委員会のマターにもなってくるので、一生懸命考えたい。七転び八起き。

※九大のHP内をググっていたら、サバティカル関連の記事がいくつかあった。中にはおもしろいものも。(こちらこちら

サバティカル…て吠えているということは、今、現状にかなり疲れてきてるってことかな?