響いた言葉

朝日新聞11/13夕刊から)

時の回廊(なかにし礼 さん)

8歳まで過ごした満州で、僕の人生の基礎工事がなされました。45年8月9日にソ連軍が進行し、逃避行のさなかに父を失った。命からがら翌年10月に日本に引き揚げてきましたが、周りの子からは「おい満州!」と、随分いじめられた。でもお陰で、よそ者意識を育むことができました。このよそ者意識こそが、僕の思想的な核です。
(中略)…しかし、ニューミュージック歌手の中には、テレビに迎合する者も少なくありませんでした。誰もが歌う時代になり、歌が日常生活の延長になってしまった。本来、歌が持つべき独や不道徳性、危うさといったものが薄れてしまったのです。そんな音楽会に対するアンチテーゼとしてつくったのが「時には娼婦のように」でした。

ニッポン人脈記 大地に聞く−9 「地震研はオールスター」

北海道大で海底地震の研究をしてきた島村英紀(70)は、学者が国のプロジェクトに振り回されていると感じている。(中略)
…学会の主流が掲げた地震予知研究を批判してきた。北大から国立極地研究所の所長に転じたが、06年に札幌地検に詐欺容疑で逮捕される。開発した海底地震計を共同研究してきたノルウェーの大学に売り、2千万円余りをだまし取ったとされた。
 「予知批判で虎の尾を踏んだとも言われたが、なぜこうなったのかはわからない」。島村によると、ノルウェー側は詐欺にあったとは思わないというし、私的流用もしていないという。
 有罪判決を受けたが、人生を何年も無駄にしたくないと考えて控訴しなかった。今は武蔵野学院大学の特任教授。学会とは距離をおき、拡大する観測網や自身の予測手法、東海地震の余地体制などに厳しい批判を続けている。