Sicko

※一旦書いた記事を誤って上書き・消去してしまったので書き直しているが、元には戻りそうにない。まとまりの悪い文章になりそう。

9月28日で上映終了と知り、慌ててチャリで出かけた。15:00からの1日1回だけの上映。アメリカの医療保険制度の欠点(弱者に厳しい)とそれをもたらした政治と保険会社の癒着を糾弾する内容である。カナダ、英国、フランスでは国民皆保健のおかげで基本的な医療費が無料であることが対比として紹介されていたが、これらの国々の制度に全く問題がないわけではなかろう。
たとえばMassie IkedaさんのUK医療事情参照。
驚いたのは、上記の国々(米国にあらず)では出産費用も無料で、それにとても長い有給・無給の産休期間がつくこと。確か日本の健康保険では、正常な妊娠と出産は病気でないので、産婦人科にかかった費用は健康保険から負担されないハズ。日本の健康保険は、中途半端。3割負担である。どうして無料にできないのか。老人が多いから?地方・都市によって乳幼児の医療費が無料だったり有料だったり、そして無料の期間が異なっていたり、どうしてそんな不公平が放置されるのか。こういう問題こそ(郵政と同様に)全国一律に解決されなければならないだろう。日本では財政が厳しいから、皆保健なのに無料にならないのか。英国・カナダ・フランスはそれほどリッチな国なのか。いったい日本の富はどこに蓄えられて何に使われているのだろう。
Sickoの中で、「弱者の扱いでその国の程度がわかる」という趣旨の主徴が胸を打った。おそらくどんな国でもthe richはそれなりに変わらぬレベルの暮らしをしているだろうが、the poorがどんな暮らしをしているかは、国の底力と哲学をあらわにしてしまう。さて、さまざまな格差が広がる日本はどうか。いったいこの社会、20年前より良くなったのかな。
医療問題からちょっと脱腺して、、、Sickoはさまざまな公共サービスがどうあるべきか、という問いを投げかけた。日本の教育コストはどうか? 国立大学法人の授業料はこんなんでいいのか? 
日本ではいろんな社会の仕組みが、ポジティブなフィードバックに傾きつづけていることを個人的には危惧している。
頑張った人が報われる仕組みは重要だが、がんばるチャンスも与えられない人(たとえば低所得層など)が増え続けてはいないか。

最後に、Sicko中でのフランス人のコメント「政府は国民を恐れているので、国民への行政サービスを簡単に下げることはできない。」はimpressiveであった。そういえば、フランスでは政策などに反対するデモ・ストが多いと感じる。日本ではどうかと問うまでもなく、国民はおとなしい。政府・会社を恐れるように。「こんな社会じゃ嫌だ」と多くの人が感じたときには、もうすでに後戻りできない制度がじわじわと整えられてはいないか。今、われわれは分水嶺に立っていると思う。
国立大学はもう手遅れである。法人化という後戻りのできない曲がり角を曲がってしまった。