ゲル内二重拡散法

通称Ouchterlony(オクタロニー?)法。免疫化学実験で古から伝わる、沈降反応を利用した抗原・抗体の検出法である。ゲルを固めてパンチで孔(well)を空け、抗原と抗体を入れたら、あとは一晩〜二晩放置するだけの簡単な実験である。基本的に複数エピトープに対するポリクローナル抗体を必要とし、感度が高くないので今時流行らないが、Western blotでは分からないことが分かる時もある。
今回は、ラボのディープフリーザーから出土した抗体(U氏が作成)が認識するタンパクを同定することを目的とする。沈降線が生じたら、それをSDS-PAGE→PVDFにブロット→N末配列決定に持っていきたい。予備実験によれば、標的の血中濃度が低いためか沈降線はかなり薄く、それをSDS-PAGEに流すと110 kDaと66 kDaの細いバンドが見えるものの、N末配列決定には足らない。そこで今日は、力で解決することに。
10x14 cm角シャーレにアガロースゲルを2 mm厚に固め、ストロー(生協で買ってきた紙パックドリンクに付属のもの。いろんなサイズのものを調達したなかから選択。おかげでお腹がタプタプ。)で4〜6 mm径のwellを沢山作り、抗血清もコイ血清もたっぷりと注いだ。(抗血清20 ul × 192 wells、コイ血清40 ul × 196 wells)
明朝、沈降線ができてますように…

↑ぱっと見は一元放射拡散法(=Mancini法)みたいだな。←これも古来の技。
*ちなみにストローでくり抜いたゲル片は、18Gのニードルで引っかけて除去するのだが、昔これをやっていた院生が「たこ焼き」と称していた。確かに似てる。