養魚場めぐり

所長さんがWuxi市近郊のコイ養殖場および水産試験場に見学をアレンジして下さったので、公用車で出かけた。高大な人口の池だったり、太湖の一角をケージで仕切ったものだったりしたが、養殖の方法そのものはのんびりしていた。基本的にポリカルチャー(コイ科魚類だが食性が異なる複数種を一つの池に共存させる)をしている。これは、水質の維持に効果があるそうだ。細菌やウイルスによる病害はあまりなく、むしろ寄生虫(おそらくチョウのような吸血性の類)が問題になるそうだ。また、それほど密な養殖でもなさそうである。ポリカルチャーであることも功を奏しているのかも知れない。

ソウギョとBlack carpを一緒に養殖している池。餌の主体は配合飼料だが、ソウギョ用に池の周りから刈り取った草が浮かべてある。
地元の方々が豪華な中華料理を昼食にごちそうして下さった。自動的にぐいぐいと飲み始め(私は軽いビール、蒸留した強そうなのを開けてる人々もいた)、結局は例の乾杯合戦によって無駄にお腹いっぱいになってしまった。宴は、試験場長さんのお話しで随分盛り上がっていたようだが、もちろん中国語だったのでサッパリわからなかった。雰囲気と表情から察するに、なんらかの政治的な/経済的な話題だろうか。後でYinさんにトピックスを尋ねたら、local languageだったのでYinさんにもサッパリわからなかったそうだ。なんだぁ。
はじめは「運転して帰るビール1本だけ」と言ってた試験場長さんだったが自分の話で盛り上がって正のフィードバッックがかかったらしく、軽く5本は開けてたな。結構酔ってた様に見えたが、そのまま高速道路をすっ飛ばして帰って行った。ヲイヲイ。

さまざまなコイ科魚類を養殖している。それらは、すくなくとも上海やWuxi近辺の中華料理にはメインディッシュの一つとして出てくる。まったく泥臭くはなく、美味しくいただけた。コイ科魚類を中心とした淡水魚が、きちんと食用魚としての地位を築いている。

↑Wuxiの魚介を扱うレストラン。太湖の恵をおいしく食べさせてくれた。(注)海鮮ではない。
気になったこと。今回の派遣費用(=出張旅費)の内、JSPSが負担するのは私の航空券のみ。滞在費用などは中国側が負担するというシステムなのだそうだ。中国側とは、「中国国家留学基金管理委員会」のことであるが、Yinさんは、ここからはまったくお金は来ない、と言っている。中国国家留学基金管理委員会が費用を負担しますという書面がJSPSに届いているのに、実際は、私を受け入れる費用は全く支出されないのだそうだ。私の宿泊費、食費はすべてYinさんが所属する淡水魚研究書の予算から出ているのだそうで、正確にはこれは研究用のグラントのはずだ。実はこの逆も真で、Yinさんが来日するときに滞在費はJSPSが出すが、航空券は中国側負担という取り決めである。にもかかわらず、そのお金は全く手当てされず、Yinさんは自分のグラントで航空券を買っている。なんだか変だぞ。JSPSは知っているのかな?知らんぷりかな?論博支援事業によれば、日本側の研究指導者は、1ヶ月を上限として相手国に派遣されうるのだが、もし私が1ヶ月滞在、とか言ったら、受入側の負担は大変である。昨年度、本年度のようにほんの数日、というのは現実的。指導のために少ししか中国に滞在できなくて申し訳ない、と内心は思っていたが、実は3,4日が限界なのだ。