ヒドロキシアパタイト

タンパク質の吸着体としてイオン交換体とは異なるユニークな選択性を示すので、未だに有用な分離担体だとは思うが、流行るには至らない。HPLC用カラムも見あたらない。以前はTソーがHA-1000なるカラムを出していたが、既にディスコンである。(うちには試供品が1本あるんだなー。なぜか。でもかなり古いので大丈夫かな?)オープンカラム用の粉末としてはSK工業製とWK純薬製と過剰に2本も在庫している。さっき冷蔵庫からもう1本、すでに懸濁液になったのが出土した。
修士2年の冬に、当時精製を試みていた補体タンパクがどうしてもきれいにならず、ヒドロキシアパタイトを試したいと思ったが買ってもらえなかった(正確には効果が不明なのでためらわれた)ので、6Fの友人I君と一緒に自作したことを思い出す。リン酸Na溶液と塩化Ca溶液をガスの弱火上に置いた2Lビーカーに滴下しながら、撹拌機をつっこんで回していたのを思い出した。それで50 ml分くらいできたアパタイトを山分けして、それぞれの精製実験に使ったのだった。分離はまずまずで、そのデータを先生に見せて、めでたくSK工業の市販品を買ってもらえたのを覚えている。ただしあのデータは論文としては日の目を見なかった。C4をコイ血清から綺麗に分離できたのは、それから10年以上たってから、OxfordのAlisterに教わった方法を改変してM君がやっつけてからである。
ところでヒドロキシアパタイトに吸着したタンパク質の溶出には比較的高濃度のリン酸緩衝液を使う。400 mM NaPBとか今にも析出しそうで不安である。だからあんまり使いたくないのかも。