九大における「学び直し」プログラム

以前に、「シニア大学院プログラム」開設を意識して文科省の「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」説明会に参加した。結果として、このプログラムへの応募は見送ったわけだが、九大の他部局から2件の応募があり、それらはいずれも採択された。
http://www.kyushu-u.ac.jp/education/action_program.php

  • 対人援助職を対象とした専門性を高めるためのスキルアッププログラム

現代社会の心の問題を臨床心理学的アプローチによって解決していくためには,各領域での専門家(医師・看護師・教師・社会福祉士等)との連携が必要不可欠で,(1)臨床心理士の専門性をより高めること,(2)各領域の専門家の臨床心理学的理解を高めることの2点が重要です。また,各領域において対人援助職のバーンアウトが問題となりつつあります。
 そこで,本教育プラグラムにおいては,各領域の対人援助職の若手専門家(経験5年未満)を対象に,(1)各領域別の臨床心理学的内容,(2)各領域合同の内容,(3)バーンアウト予防としてのストレスマネジメント教育も行います。

  • ポストR&D創成能力向上の為の実践的統合教育プログラムの開発

本事業は,研究(R)・開発(D)業務に従事する社会人を対象に,研究成果が効率よく事業化に結びつくよう創成能力(IMOP: Integrated Management of Production)の向上を図る,学び直しの統合教育プログラムです。
 本カリキュラム開発は,九州大学保有する教育・研究資源と,知識・経験豊富な企業が連携して行うもので,講義では,基礎研究・技術開発・工業化役務及び生産業務の各段階に於ける手法・評価等の業務フローを「見える化」した開発教材を活用し,事例演習を加味して,受講生の基礎力を向上させることを目標としています。
 この教育効果として,受講生が自主的に業務の上工程,下工程を認識・判断できる能力を高め,創成能力を修得することで,ものづくりインストラクター,ゼネラルスペシャリストにキャリアアップを図ると共に,ひいては所属企業の研究投資効率向上に寄与したいと考えています。

文科省説明会では、ニートや主婦を主なターゲットとして彼らにキャリアアップと就労の機会を与えることがモデルケースとして強調されていたが、双方とも、必ずしもそんな枠にとらわれない、アイディアあふれるプログラムに見える。「学び直し」というキーワードは一部の政治家の思いつきで出たものという私の理解は変わらないが、このような実際の取り組み自体はうまく機能してほしいと思う。きっとこのような具体的プログラムは、日頃からニーズ、アイディア、そして取り組む組織(人の繋がり)を準備してないと出てこないと思う。われわれ(少なくとも私)にはそんな貯金はなかった。
個人的には、シニア対応大学院プログラムにもあまり積極的な意識はないが、シニアにも使ってもらえるような大学の資源はあると思う。教員のエネルギーと時間をシニア教育に割くことが、長い目で見て九大のためになるとは思わないだけである。横並びに、全国的な流れに合わせるだけの目的意識でシニア教育に乗り出してもよいプログラムにはならないだろう。

ところで、このような新規プロジェクト案の中にも、よくわからない言葉が多い。上記九大案にも『業務フローを「見える化」した開発教材』って言葉があるが(ふつうは可視化というのでは?)、このような意味が曖昧で、でもちょっと頭に引っかかって、何か新しい雰囲気を感じさせるような造語が、テクニカルには重要なのだろうか?
今回、このプログラムへの応募したタイトルにも、個人的には意味不明だったり、気恥ずかしく感じる言葉が多いなぁ。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/05/07052514/003.pdf

アントレプレナー養成プログラム (要は、起業家でしょ)
…「情報教育イノベータ」育成プログラム (イノベーター、イノベーションは食傷気味)
…“見直し・気づき・展開”プログラム (気づき、っていう言葉が「癒し」と同じくらい嫌いなだけ)
…キャリアチャージプログラム  (キャリアをチャージするってどういうこと?)
自然環境診断マイスター養成 (マイスターって?○○士のこと?)
…「バーチャル・マイスター」養成プログラム  (バーチャルなマイスターって?)
アグリプロ養成プログラム (アグリプロ=職業としての農業従事者だよね)
アパレルテクニカルイノベーション講座 (被服技術改革!!)

中にはとても具体的でわかりやすいタイトルもある。(私好み)

大分県内小中学校の情報教育等を支援する補助スタッフ養成講座
農業法人へ就職する人のための支援プログラム

さて、最終的にどれが採用されたかは知らない。